ハネノネ
変わらないコウスケの様態
なにがあいつの病の進行を妨げているんだろうか。
「人間じゃなくても良いから生きていたい」と、もがきながら死ぬ者もいるというのに、
同じハネの病の恋人と共に朽ちるはずだったコウスケが生きているのだから、残酷だ。
もしも姉が薬を完成させてくれたら、
もしもコウスケがその薬によって病も精神も回復してくれたら、
あいつは、こんなになってしまった世界でも、
前を向いて、僕らを引っ張ってくれるだろうか。
引っ張ってって、くれないだろうか。
なんてくだらない、微かな希望やもしも話。
今更どう足掻いても、僕らに残されたものは、
延々と降り注ぐハネだけなのに。
いつもの考え
いつもの帰り道、
ハネで埋め尽くされている道に、見慣れない銀色を見つけた。
銀色の髪の少女が、倒れていた。