王子様の甘い誘惑【完】
「理生ちゃん、さっきの全部聞いちゃった?」
遅れて出てきたユキ先輩は少しだけ気まずそうにポリポリと頭をかいた。
「……はい。大体は……」
「どう思った?」
「……へ?」
「蓮の気持ち、少しは分かったでしょ?嬉しかった?」
ユキ先輩は柔らかい笑みを浮かべる。
「正直……嬉しかったです」
もしここで蓮とユキ先輩の会話を盗み聞きしなければ、蓮がお弁当を食べてくれたことも蓮がどんな気持ちであたしのお弁当を押し返したのかも分からないままだった。
蓮の心の声を聞いた気がして、ポカポカと胸が熱くなった。