王子様の甘い誘惑【完】
「……おーい、蓮。起きてよ。朝だよ?」


顔にかかった長い前髪をどかして、耳元でそっと囁く。


だけどぐっすり眠っている蓮はピクリともしなくて。


「……おーい、蓮。好きだよー。愛してるよ~」


って、あたし調子に乗りすぎ!!


自分で言って少しだけ恥ずかしくなっちゃったよ。


だけど、どうせ蓮は寝てるし聞かれっこないもんね。


まぁ、いっか。



「よし!!お弁当でも作ろうかなっ!!」


何の反応も示さない蓮を構うのをやめて、ベッドから起き上がろうとした瞬間。


「理生、朝からうるさい」


「……キャッ……――!!」


蓮は眉間に皺を寄せながらあたしの腕をグイッと引っ張った。


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