王子様の甘い誘惑【完】
「これに気付かないとか、信じらんねぇよ」


蓮はボソッと呟きながら、ボタンを正しい位置に止め直す。


長い蓮の指が自分の胸元で器用に動いている。


その様子を見ているだけで頭がクラクラして倒れそう。



「これからは気をつけろよ。他の男に見せたら許さねぇからな」


ポンッと頭を叩いてあたしに背中を向ける蓮。


あたしは蓮の背中にギュッと抱きついた。



「なんだよ、急に」


蓮はいつもと同じ声のトーンであたしに問い掛ける。


全然動揺していない蓮。


なんか、ちょっぴり悔しい。


ドキドキするのって、いつもあたしだけ……。
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