王子様の甘い誘惑【完】
「……わりぃ、言いすぎた」
「へっ?」
急に穏やかな口調になる蓮に思わず拍子抜けする。
「べ、別に蓮が悪いわけじゃないけど……」
「お前が誰かに悪く言われんのすげぇムカつくんだよ」
あたしの体に回った蓮の腕。
その腕にギュッと力がこもる。
なんかあたし……今、すっごい幸せかも。
「あのさぁ、目の前でそんなにイチャつかれると目のやり場に困るんだけど」
「あっ……!!」
そうだった!!ユキ先輩が傍にいたのを忘れてた!!
ユキ先輩の言葉に我に返って、パッと蓮から離れる。
「お前、マジ危なっかしい。俺から離れんな」
蓮はぶっきら棒に言うと、あたしの手をギュッと掴んだ。