王子様の甘い誘惑【完】
「そういえば、蓮とユキ先輩っていつから友達なんですか?」
ぶっきら棒で人当たりの良くない蓮と、誰にでも優しいユキ先輩。
正直、対照的な二人が何故一緒にいるのか分からない。
「蓮とは小学生の時からの腐れ縁だよ」
「腐れ縁……?」
「そうそう。それに恋のライバルでもあるよ。昔は特に……ね」
恋のライバル?
何だかよく分からない。
あたしが首を傾げると、蓮は急にあたしの肩を掴んで自分の方に引き寄せた。
「さっきも言ったけど、こいつは俺のだからな。手出すなよ」
「分かってるよ。俺が蓮の彼女に手を出したこと、一度もないだろ?」
「お前、まだ……――」
「別に」
おかしな空気が流れ始めてあたしは二人を交互に見た。
ユキ先輩はニコニコとしているのに、蓮はしかめっ面。
結局、ユキ先輩と別れるまで蓮は顔をしかめたままだった。