王子様の甘い誘惑【完】
「蓮……来てくれたんだ?」
昨夜はあんなにブーブー言ってたのに、ちゃんとあたしのお願い聞いてくれたんだ。
こういう瞬間に蓮からの『愛』を感じる。
思わずニヤけてしまう口元をキュッと引き締めると、蓮はあたしの頬を指で掴んで引っ張った。
「……れ……ん……ふぉうしたの……?」
蓮、どうしたの?って聞きたいのに、うまく喋れない。
そんなあたしを蓮は眉間に皺を寄せながら見つめる。
「どうしたの、じゃねぇよ。何ナンパされてんだよ」
「……だってぇ……」
どうしようもなかったという状況を説明しようとすると、蓮はパッと手を離す。
その代わりにやってきたのは、蓮の唇だった。