王子様の甘い誘惑【完】
ん?っていうか、今……幼なじみって……。
「愛子さんとユキ先輩って幼なじみなんですか……!?」
「そう。家が近いし、親同士も仲良かったから」
「そうなんですね……」
思わず口から洩れる盛大な溜息。
写真の中の蓮と愛子さんはとても幸せそうだった。
それなのに、どうして別れちゃったんだろう……。
蓮と愛子さんは今……どこでどんな話をしてるんだろ……。
蓮は……どうしてあたしを選んでくれなかったの?
どうして、あたしを置いて行っちゃったの?
「……――理生ちゃん?どうした?」
あたしの顔を覗き込んだユキ先輩の顔が歪んで見える。
こんなところで泣いちゃダメ。
ユキ先輩だって、目の前で泣かれたら困るに決まってる。
ギュッと唇を噛み締めて堪えたはずなのに、涙が頬を伝った。