王子様の甘い誘惑【完】

「お前、まだ起きてたのか?」


一瞬驚いたような表情を浮かべた後、蓮はあたしの頭をポンッと叩いた。


柔らかい笑みを浮かべた蓮はやっぱり王子様みたい。


「だって蓮、いつ帰ってくるか分かんなかったから……」


「名前」


「……え?」


「初めて俺の名前呼んだな?」


「あ……確かにそうかも」


そういえばずっと蓮のことを「あんた」って呼んでたっけ。


「これからは蓮って呼べよ」


「……うん」


頷くと、蓮は「珍しく素直だな」と言いながらあたしの頭をガシガシと大きな手の平で撫でた。

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