王子様の甘い誘惑【完】
「なぁ」
「……なに?」
フォークをお皿の上に置いてあたしをジッと見つめる蓮。
茶色い瞳に真っ直ぐ見つめられると目を反らせなくなる。
「何で俺が帰ってくるまで待ってたんだよ。先食ってればよかったのに」
「だって一人でご飯食べるのってなんか寂しいんだもん。あたしが一人で食べるのが嫌だったから待ってただけ」
誰かと一緒ならそれでよかったんだ。
それが蓮じゃなくても……。
蓮だから待っていた訳じゃない。