透明な翼
「開けていいの?」

「どーぞ?」

がさがさと包装紙を剥がしてぱこっと蓋を取った。

その中身は――

「これ……」

翠は箱からシルバーのブレスレットをそっと取り出した。

シャラ…

ブレスレットの、小さなピンクの石の付いた蝶の飾りを見ながら呟いた。

「可愛い……」

「誕生日プレゼント。やるよ」

翠は驚いた顔で僕を見た。

「いい、の?」

「今朝のあれだけで終わりだと思った?」

僕は意地悪く口角を上げて言った。

「ありがとうっ!」

コイツはいちいち本当に嬉しそうに笑う。

見てるこっちまで嬉しくなってくる。

「一生大事にする……本当にありがとう」

「今日何回目のありがとうだよ」

「いいの! 言いたいんだから!」

「はいはい」

僕は笑った。

翠も笑った。

こんな平穏な日がずっと続けばいい――そう思っていたのに。

もうすぐそこまで迫っていたんだ。

終わりを告げる合図が――……




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