Beats! ~美歌と奏楽の恋物語~


今は一時間目…数学の時間…


「はぁ…」


思わずため息がこぼれた。


翡翠くんと、花音ちゃんは、私にボーカルをしてほしいみたいだけど…
私なんかが…本当にボーカルなんて出来るのかなぁー?

あ~も~

イヤだなぁ、私って。
なんでこんなにマイナス思考なんだろ…。

もっと前向きに考えたいのに。



前向きといえば…翡翠くんも、花音ちゃんも、すっごい前向きそう。
2人とも、性格がちょっと似てた。

元気で、明るくて、素直で…


私とは、大違い。


って、いかんいかん!
こんなことばっか考えてたら…

そういえば、翡翠くんのやってるバンドのメンバーは、
翡翠くんと花音ちゃんと…あと誰が居るのかなー?

まぁいっか。
放課後になれば分かることだし。



**********



放課後ー…



ここだよね?
音楽室って。


ガラッ


「おせぇよ、美歌」


「美歌ちゃんやっと来たーっ」


ドアを開けると、翡翠くんと花音ちゃんが声を掛けてくれた。


「この子が…
その、“みき”って子?」


「違う…“みか”…」


あ、この2人…確か同じクラスの…
瀬名宙音くんと、明瞭謡くんだ。


「ぁ、はいぃ。
美歌です。
美しい歌で美歌…全然、美しい歌なんて…歌えませんが…」


はぁ…。

自分で言っときながら傷つくなぁー。
歌下手なくせに歌手目指してる…なんて、私って本当バカ。


「ふ~ん。
でも奏楽は、歌歌ってるときは天使みたいな子って言ってたぜ?
なぁ、謡?」


「うん…言ってた…」


「ちょ、お前ら…っ!」


え…。
翡翠くん、そんな風に言ってくれてたの…?


「言ってねぇからな、美歌!
勘違いすんなよっ////」


翡翠くんは、下をむいて顔を真っ赤にしている…


「ふふっ」


「な、何笑ってんだよ?!」


「別にぃ。
笑って…無いですよ?」



ちょっと可愛いかもなんて…
思っちゃった。




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