きっと好き



「いい加減にしなさい、ひかる!」


「いい加減にするのはお父さんの方でしょ!?」



どす黒い感情は、いつの間にか私の体を支配していた。



「ろくに病院にも来なかったくせに…。
お母さんは、いっつも1人で……お父さんの事を待ってたのに。」


「…ひかる」

「なのに、どうして!?
お母さん1人幸せに出来なかった人が、幸せを得ようとするのよ!!!!」



叫びすぎて、もはや自分の声では無いみたいだった。






「私はイヤだ!!この人とは一緒に住めない!」


「ひかる!!!言うこと聞かないか!!」


「お父さんが出て行けばいいでしょ!?」

「いい加減にしなさい!!!」



父がそう叫んだと同時に、私の左耳の近くで何かが破裂したような音がした。



左の頬がジワジワと熱くなる。
ヒリヒリと痛くなってくる。







……タタカレタ。








気づいた時にはもう、涙を我慢しきれていなかった。






「…………もぅ…いい。」





父は肩で息をして、"マキハラさん"は体が硬直している。







「…勝手にすればいいじゃん!!」









< 117 / 230 >

この作品をシェア

pagetop