きっと好き



「長かったね、準備。」

「あ、うん。ちょっと…ごちゃごちゃしちゃって…。」


「ふーん。」





私もこんな風に聞いたらいいのに。



“いつも、私と帰った後、何してるの?”


聞けばいいのに。








“おめでたいヒト”



きっと良いことじゃないんだろう…。










「ひかる、元気なくない?」


「えっ!? 元気元気。いつも通り!」





神谷が急に顔を覗きこんできたからビックリした。

心臓の音が頭の中で響く。




「そ?なら、いいけど。」



そう言うと、神谷はそっと左手を差し出す。


私は


右手で彼の手をとる。










ねぇ、神谷?

私は怖いんだ。



この手を離せば

本当の事を聞けば


好きだという事を伝えれば






きっと

今のままでは


いられないから。









< 193 / 230 >

この作品をシェア

pagetop