ふた恋～雨が上がれば～

雨の中で

捨てられたのは私だけど、捨てられたなんて思ってない、こっちからバイバイしてあげたって、そう思わせるような余裕を見せたかった。


「ふえっ……」


でもやっぱりそれはただの強がりでしかなくて、私は泣きながらマンションを後にした。


いつの間にか雨が降っていて、傘も差さずにマンションを飛び出した私の体を冷たく濡らす。


「おばあちゃんとこ帰ろう」


電車に乗るため、泣きながら駅に向かう。


ちょうど帰宅時間と重なったらしく、雨に濡れながら歩いてる私をヘンな目で見る人の視線がいくつも突き刺さった。


でもそんな視線は、裕也に振られた傷に比べたらなんでもない。


「あっ……」


駅について電車に乗ろうとしたら、荷物を何も持っていないことに気付いた。


それだけ私は、ショックを受けてたんだろう。


「ダメだな～」


裕也に振られたショックと、雨に濡れた体に疲れてを感じて、私は改札口から離れた人通りが少ないところにしゃがみ込んだ。


「これからどうしよう？」


まだ裕也のマンションにはレイラがいるしな、なんて考えていると、徐々に眠気が襲ってきた。
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