ふた恋~雨が上がれば~
人って、本当に眠いって思ったら、どこでも眠れるみたい。


たとえどんなに辛く悲しいときでも……。


目を瞑ったまま、私はだんだんと眠りの世界に引き込まれていった。


「……。……璃?」


それからどれくらいたったか分からないけど、うつらうつらした意識の中、微かに自分の名前が呼ばれた感じがした。


うっすらと目を開けるも、ボーッとしていて誰だかハッキリ分からない。


「……璃、なのか?」


声から、男の人だってことは分かった。


「どうして?」


そしてその声に、どこか戸惑いが含まれているのも。


一体この人は誰だろう?


まあ、誰でもいいや。


普段なら警戒してすぐに離れたりするけど、今はここを動く元気もなかったから、私は再び目を閉じた。


雨に濡れたせいか、なんだか体がとっても重い。


もう少し休んでから裕也のマンションに鞄を取りに行こう、そんなことを思いながら私の意識はまた眠りの世界に落ちていった。
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