ある聖夜の物語《短》
「他の奴らも同じようなメールを送ってきた」
パチン、と携帯を閉じた後。
ガラステーブルの上においたタキは、呆れたような顔で私を見る。
その顔付きは私に向けられているものではなく、今頃恋人といちゃついているであろう、クラスメイト達に向けられていることが私にもわかった。
確かに皆、ラストスパートかけるって言ってたけど……私とタキを除く全員が本当に恋人を作ってしまうだなんて。
いくら私のクラスの顔面偏差値が、校内一だと言われていても有り得ない。
「皆すごいよね。
……まあ私は、お酒さえ飲めればなんでもいいんだけど」
だけど、皆のあの勢いなら有り得るかも。
そう納得した私は本心をタキに伝えたあと、白いカーペットの上に座った。