‐ヤンデレ達と私‐

一時間しないくらいでルイ君は出てきて、私の方に駆け寄る。


「お待たせ〜」


「お疲れ様、あれ?先生は?」


「え?後ろに‥‥って居ないし、あの人男前なのに凄い恥ずかしがり屋なんだね」


頭をカリカリと掻いて困った様な顔をすると、二人で先生を呼びに行く。


「もー先生、なにし‥て‥」


「ちょっとワックスでふわっとさせてみたよー、よくない?」


恥ずかしそうにしている先生は、いつも以上にかっこよくなっていて私は息を飲む。


天パの髪の毛を少しフワッとさせて、前髪も横にさらりと流している。


「なぁ、どう?」


「ルイ君‥凄いね、ありがとうっ本当にありがとう!」


「どう致しまして」


笑い合いながら先生を見ると、先生は少しだけ不機嫌なような感じがした。


「先生、帰りましょう?」


「え?お金は‥」


「私が払いましたから、今日付き合ってくれたお礼に先生をイメチェンさせてみたんです」


そう言うと先生は少しだけ顔を綻ばせて、ルイ君にお礼を言った。


「じゃあ私達帰るね、ありがとうルイ君」


「じゃあ‥俺は、車出して来るから少し待ってて」


「はい、分かりました」


入り口に立っていると、ルイ君が後ろからトントンと肩を叩く。


「あ、ルイ君」


「‥あの人彼氏?」


「いや、違うよ‥住み込みで家事手伝いの仕事してるの、因みに有名な小説家だよ」


「マジか、良かった‥でも住み込みって言うのは頂けないね」


そう言うルイ君にどうして?と言おうとすると、額に温かくて柔らかい感触がした。


え‥おでこにキスされた‥?


「まぁ良いや、気をつけて帰ってねー沙由」


「え‥あ、うん」


ルイ君はクスッと笑うと手を振って店の中へと戻って行った。


先生の車が近くにあった事を忘れていた私は、先生に見られていたなんて気づかなかったけど。



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