君のことを想いながら
「ただいまぁ。」


サキが帰ってきた。


「お母さん??まだ帰ってないのかなあ??」


サキは家中を歩き回り
母親を捜している。


「…お母さん、どこ行ったんだろ~??…ゴホッ…風邪…かな??」


サキは最近よく咳込んでいる。

サキは今、家に一人のようだ。


俺はその様子を見て、シナリオを考えていた。


一人…ね。


ひとり…。


ヒトリ…。


残酷なシナリオだ。


俺の脳内に浮かぶシナリオは、今までの中で一番残酷なもの。


残酷で哀しい最期のシナリオ。

俺は不気味に笑う。


今の俺の心にはシズカの存在はない。


ただ、残酷なシナリオを描いているだけ。

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