暖簾 のれん
新天地
機内からタラップへ出るとムンとした熱気が私を包み込んだ。
ジメジメする湿気、突き刺すような太陽の光。
マレーシアはペナン島へ到着した。

ここが私の新天地なのか。

マレーシアの第一印象はこうだった。

流れに沿って入国手続きへ。
長蛇の列には他の飛行機から降りてきた人も一杯。
色んな国の人がいたが、やはりトゥドンと呼ばれるイスラム教のいわゆる女性のほっかむりが目立つ。

やっと自分の番が来た。パスポートを渡すと入国管理官が私に言った。

「3ヶ月の滞在はどこに?」

「ホテルです。」

「どこのホテル?」

「XXXホテルですが。」
(大学の英文科を出ていて良かった。)

管理官はジロジロと私を見た後に言った。

「6時に仕事が終わるんだけど、夕飯一緒にいかが?」

「へ??」

全く予想もしなかった質問に私は困った。
本人は結構真剣に言ってるらしい。

「はははは・・・。夕飯は友達と約束があるから。」
とっさに思いついた嘘を言うと、(チェッ!)と言わんばかりの顔で乱暴に私のパスポートを返した。

初めて話したマレーシア人がこの人・・・・う~ん。
出鼻をくじかれる思いだったが、さっさとスーツケースを受け取るとXXXホテルとは全く違うネットで調べた共同アパートへ。

マレーシアはビザ無しでは3ヶ月しかいられない。
この3ヶ月値段の高いホテルなんかには居られなかった。

そしてこの3ヶ月で何かを見つけないといけない私だった。







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