化学室のノート【短編】
気付いてくれてない、よね
しかたなく私はその人の肘をコツンと叩く。
勇気が必要だ。
わたしはほとんど男子と話せないたちだから。
「あの…すみません。
拾っていただけませんか?」
小声でささやくと
そのひとは無愛想に頷いた。
背が高いからか、少し窮屈そうにかがんで取ったシャーペンを私に手渡す。
「ありがとうございます」
ホッと一息ついて
彼を見上げて礼を言うと
その人は軽く会釈を返しただけで
ふい、とそっぽを向いてまた授業に戻っていった。
なーんか、ちょっとヤな感じ。
でも拾ってくれただけマシか、と思いなおし
気にせず私も授業に戻った。