化学室のノート【短編】



まさか返事がくるなんて
思ってもみなかった。



………ちがうな。



本当は来たら良いなって
心のどこかで願ってた。



だってこんな秘密のやりとり



どうしようもなく
ドキドキするシチュエーションじゃない?



ふふふー



と一人にやけて
ようやく私は教科書を開く。



暗記は得意だ。



無機化学だけは、
頑張ってみようかな



なんて、不覚にも
力が入ってしまうのだった。



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