舞風─君をさがして─
「……吸血鬼……か。そんな話、なんだか今でも信じられねぇよな」

平助君は廊下の窓から外を見ている。
ちょうど茜色の太陽が地平線へと沈んでいく。

「そうだね。でも――これからどうする?」

腕時計は午後六時になろうとしていた。

「奴らの正体が吸血鬼ならば行動は完全に日が落ちてから……か」

「総司、何かいい案があるのか?」

「『腹が減っては戦はできぬ』ってね!まずは近くのファミレスに行くってのはどうかな?」

沖田さんは真面目で鋭いことを言うかと思えば、
たまに冗談言ったりして場を明るくしてくれる。

「その案乗った!!千鶴も行くだろ?」

平助君はいつもと変わらない優しさで、
素直に接してくれているのがすごく伝わってくる……

「うんっ」

こんな他愛もない会話ができるのも、
私にとってはとても温かくて、

嬉しいんだ。
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