舞風─君をさがして─
沖田さんと平助君が行く手を阻む吸血鬼たちを次々と倒していく。
でもこれは逃げる時間を稼ぐくらいのことしかできないのは分かっている。
だからこそ、
私たちは出口を目指して全力で走った。
誰か……いる?
暗がりの中でぼんやり浮かぶシルエット。
「……これは、これは。藤堂君と沖田君、そして──雪村君ではありませんか」
「さ、山南さんっ!あんたが黒幕ってことは分かっているんだよ」
入口のガラス扉に差し込む月明かりで、彼の眼鏡がキラリと光る。
「黒幕……それは随分な言い方ですね、藤堂君。我々の研究はまだ発展途上段階でね。完成させるためにはある特殊な要素を持つ血液が必要なんですよ」
「……血液だと?」
「そしてやっとその血液の持ち主が見つかってね……私もホッとしているとこなのです」
「千鶴!!!!!」
二人が山南さんの企みに気づいた時には、
私はもう敵の手中に落ちていた。
「いや!!!離して!!!」
「最強の『羅刹』を造るために」
「千鶴ちゃん!!今助けるから!」
『平助君!沖田さん!』
フワッ
「消えた──」
左手に残っている彼女の温もりを噛み締めるように、総司はぐっと拳を握りしめた。
私は両手を捕まえられたまま、見知らぬ場所へと連れていかれたのだった。
でもこれは逃げる時間を稼ぐくらいのことしかできないのは分かっている。
だからこそ、
私たちは出口を目指して全力で走った。
誰か……いる?
暗がりの中でぼんやり浮かぶシルエット。
「……これは、これは。藤堂君と沖田君、そして──雪村君ではありませんか」
「さ、山南さんっ!あんたが黒幕ってことは分かっているんだよ」
入口のガラス扉に差し込む月明かりで、彼の眼鏡がキラリと光る。
「黒幕……それは随分な言い方ですね、藤堂君。我々の研究はまだ発展途上段階でね。完成させるためにはある特殊な要素を持つ血液が必要なんですよ」
「……血液だと?」
「そしてやっとその血液の持ち主が見つかってね……私もホッとしているとこなのです」
「千鶴!!!!!」
二人が山南さんの企みに気づいた時には、
私はもう敵の手中に落ちていた。
「いや!!!離して!!!」
「最強の『羅刹』を造るために」
「千鶴ちゃん!!今助けるから!」
『平助君!沖田さん!』
フワッ
「消えた──」
左手に残っている彼女の温もりを噛み締めるように、総司はぐっと拳を握りしめた。
私は両手を捕まえられたまま、見知らぬ場所へと連れていかれたのだった。