舞風─君をさがして─
どうしよ……
演劇なんてしたことないし、
それに
相手役なんて選べないよ。
ガラッ
「千鶴ちゃん!!」
「おっ沖田さん!!」
部活や帰宅で教室に生徒は殆ど残ってない中、沖田さんが私に声をかけてくれた。
「聞いたよ、例の話」
情報早いなぁ……これも新撰組の力なのかな。
「私には無理です。こんな大役、自分にできるわけないんです。でもどうしても断れなくて……」
「どうして、やる前からできないって決めつけるの?」
「演劇なんてやったことないんです。ましてヒロインなんて、私には荷が重すぎます」
セリフもたくさんあるだろうし……ちゃんと覚えられるかどうかも怪しい。
「僕は千鶴ちゃんならできるって信じてるんだけどなぁ」
「……沖田さん」
「って言っても、僕の『勘』だけどね!相手役って千鶴ちゃんが指名できるんでしょ」
「……そう、みたいです」
「僕もその候補の一人に入れておいてよ」
ちょっとだけ、勇気をもらったような、
「……はい」
そんな気がしていた。