ダークエンジェル
リュウだってカイルがビジネス上、
いかに忙しい立場の人かは分っている。
ましてや、カイルは足の切断手術を終え、
やっと義足を取り付けたところ。
その精神状態だって、
思いやるのが家族というものだと言う事は知っている。
自分は父と一緒に暮らしている。
カイルはずっと一人だったんだ。
それなのに… 自分は甘えている。
分かってはいても、
携帯を握っているリュウ。
カイルの声を聞けば、
この不安定な心を払拭できそうな気持だ。
カイルはいつも優しい声で、
優しく応じてくれる。
「カイル、リュウだよ。おはよう。
毎日電話して… ごめんなさい。」
「別に誤ることなんかないさ。
リュウならいつでもO・Kだ。
どうした。何かあったのか。
あのことは父さんに話した。
また何か起きたのか。」
カイルはいつものように優しい口調だ。
「そうじゃあないけど…
実は… 父さんがおかしいんだ。
今日、初めて仕事に行った。
大学で何かあったのかなあ。
長いこと休んだから仕事が無くなっちゃったのかなあ。
僕って成長していないから…
だから父さん、
僕には話しても仕方が無いと思っているのかも知れない。
カイル、どうしたら良いんだろう。
なんだか心細くなってしまって…
ついカイルの顔が浮かび…
ごめんなさい。
僕って… どうしようもない奴だね。」
「何を言っているんだ。
親だけが子供の事を案じる、と言う事は無い。
子供だって親を案じるものだ。
しかし…
父さんがおかしい、と感じたのはいつからなんだ。
正確に教えてくれないか。
大学へ行ってからか。
それとも、朝、こっちでは昨日の夕方、
私は父さんと話しただろ。
その時は何も無かったと思うが、
その後なのか。」