好きって言いたくて

* 放課後


そして時計の針は進んで放課後。

塾の人、デートの人、合コンの人、部活の人、帰宅する人、遊びに行く人
一斉に生徒は動き出す。

もちろん私も、美莉も帰宅部。

時間が合えばいつものように街に出る。
タピオカ食べて、ファミレス行って、プリクラとって…。

「腹減ったぁ。」

美莉の日課だ。

放課後になれば絶対おなかがすいてつまみ食い。
それでも太らないところがなんだか憎い。

「あ、先生さようならぁ。」

「湯本か。さようなら」

ほぁ?
この声ってもしかしなくても…

「小島は今日よく会うなぁ。二人とも気を付けて帰れよ。」

「「はぁい」」

先生は夕方になるとメガネをかける。
視界が少しかすむかららしい。
そんなレアな先生を見れるのも放課後だけだから、今日はだいぶラッキーだ。


あ、そうだ…。


「中井せんせぇ!朝はアリガトウ!!」

やっぱりちゃんとお礼は言っときたい。
先生は一瞬きょとんとして優しく笑っていった。

「どういたしまして。」


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