First Love 〜俺に惚れろ〜

そこまで言ったところで、涙腺が緩んで
視界がぼやけ始めた。

「昨日?」

やっぱ何かあったのか、みたいな顔で見てくるりょう。

しまった、と思った。

でも、今は

何か言ったり、瞬きなんかしたら絶対涙零れちゃいそうだから


『キーンコーンカーンコーン』
って響いたチャイムに心の中で安堵して、泣きそうなのがバレないようにそっぽ向いた。


「……おい」


もう先生がいる。
授業も始まってるし。
今まで黙ってたくせに。


「………」

「…聞いてんのかガキ」

…ガキじゃないもん。


「…ナナ」


ビックリした。
だって、思っただけで

口に出したわけじゃ、ない。


「……な「おいそこーっ!!授業中だぞ」

何、って言おうとしたけど、言い終わる前に先生の声が飛んできて

そこで会話はストップした。

「……すみません」

「ん?何だナナ、元気ねぇな?」

「へ…、そぉですか?」

元気ない…んじゃないんですよ先生。
そう思って初めて浮かぶ疑問。

元気がないんじゃない。
落ち込んでるともちょっと違うし。
悲しいでもない。

…じゃあ、何で泣きそうになってるんだろう。

……わかんないよ。

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