同棲彼氏
「ねぇ・・・何か言ってよ・・・。言ってくれないとキスしちゃうよ?」

「何言ってんの?お前、好きな人出来たし、俺が浮気してるかもって言って俺の事ふったんだろ?」

「・・・好きな人出来たってのは、ウソ。ホントは真湖斗の事好きだった」



何・・・話してるの・・・?



「だけど、真湖斗が浮気してるってウワサがあちこちでたってて・・・。でも、私、真湖斗の事、本当は好きだったよ?」

「・・・は!?俺、お前と付き合ってたときに違う女好きになったりしてねぇぞ!?」

「だって・・・今、彼女いるんでしょ?」



少し泣きそうな元カノの声。



だけど真湖斗は冷静だった。



「それは、お前が別れた後に出会ったの」

「・・・そう。じゃ、やり直さない?」

「何でそうなるんだよ!」

「私、真湖斗の事好きだよ!?」



元カノは、すごく辛そうな声だ。



「『いい』って言わないんだったら、今ここでキスしてやる」

「やめろ・・・」

「『いい』って言わないならキスするって言ったよね? キスしてほしいってこと?」



そのあとチュ、というキスの音がした。



多分凄い一瞬。



だけど・・・。



「アキっ」



真湖斗の声が聞こえる。



そのあと、頬を叩く音がした。



何?



今、何が起こったの?



思わずリビングに駆け込んでしまった。



元カノは美人な人だった。



元カノは、泣きそうな顔をしていた。



「あたし、真湖斗が好きよ・・・? どうして、叩いたりするの・・・?」



そう言って泣いてしまった。



真湖斗が・・・叩いたの?



そして、元カノは泣きながら家を出て行った。
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