同棲彼氏
<優美さんが眠っている間にあたしと真湖斗さんはキスしましたよね?>

「・・・。それが何?」

<ずいぶん余裕ですね>

「彼女だから、真湖斗を信じているの」



噓つけ、私。



さっき真湖斗に『信じられない』って言ったくせに。



<・・・そうですか。まぁ、いいです。優美さんが眠ったわけ、あたしがココアに睡眠薬入れました。真湖斗さんとキスするために。すみません>

「あっそ。でも、それ、完璧事故だし。真湖斗が揺らぐわけないし。っていうか謝るなら最初からすんな」

<一応謝ったほうがいいかなと思っただけです。真湖斗さんは拒否りませんでしたよ>

「・・・」



しばらく沈黙があった。



<まぁ、そういうわけで、真湖斗さんはもうすぐあたしのモノです>

「それだけ言いに来たの?」

<ふふ、まぁそうです>

「でも、真湖斗、あんたの事『やだ』って言ったよ」

<そうですか。でも、それは優美さんの機嫌を取ろうとしただけじゃないですか?>



・・・コイツ、憎たらしいっ!



「あっそ!じゃあね!」



私はそう言って電話を切った。



私は、お腹が空いてるにも関わらず、自分の部屋に閉じこもった。



「真湖斗・・・」



ふいにこぼれる愛しい人の名前。



真湖斗・・・揺らいだり、しないよね?



そうしたら、私が許さないんだから!



そう強がってるけど、やっぱり・・・心のどこかでは凍えているんだ、真湖斗が暖めてくれなくて・・・。
< 78 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop