禁断の恋
出会い


季節は初秋。


京都の街の所々に金木犀の甘い香りが漂い始め、お天気にも恵まれた週末には全国各地から沢山の観光客が訪れていた。

京都の夜景が一望できる東山にある将軍塚の展望台に、他のカップル達と一緒に美恵と康弘は立っていた。

今日出会い系サイトで知り合ったばかりの美恵と康弘は、カラオケの後しばらくドライブをしてここ将軍塚へやって来たのだった。

この日はお天気がよく空気が澄んでいたため、京都の街の夜景がとても綺麗に見えた。

展望台には爽やかな秋風が吹き抜け、美恵の長い黒髪を靡かせた。

眼下に広がる夜景を見つめながら他の恋人達と同じように、美恵と康弘もどちらからともなく肩を寄せ合い軽くキスを交わした。


42歳の河原康弘は妻真由美を不慮の事故で亡くしてもう3年になろうとしていた。

康弘と亡くなった真由美との間には子供はなく、康弘は病気の母親の介護を一人でやってきたのだった。

一方康弘と同い年の武田美恵には、お見合い結婚をした5歳年上の夫幹男と中学生の娘由美がいた。


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