ウルトラマリンブルー
道先案内人
運命的と言えば言えなくもない、彼との出会い。
その瞬間、彼は私の王子様…なんて、ここだけの話。


「ねぇ、道に迷ってるの?」

私は雑踏の中で、彼の低音のよく響く声に後ろから押された。

そう、まだ道に不慣れでと言うと、彼は私の半歩斜め前を歩き出した。

そして、振り返り
「どこまで行けば帰り方分かるの?」
と控えめな声で続けた。「分かる場所まで送ってあげるよ」

私、もうこの時にやられていた気がする。うん間違いない。

彼のそう背丈はないが、厚みのある広い肩幅。
私好みの薄くて切れ長の瞳。
すんなり筋の通った肉付きの良い鼻。

そして、小さめだけど形の良いヒップ。

なんだか後ろめたい…。
でも、その作られていない爽やかさっていうか、青年らしさ(笑)というか…そこはかとなく振り撒かれる彼のフェロモンに、私はもうクラクラしていたような気がする。
「なんかだるかったね、今日の研修」
また話かけて来たっ。
思わず、目線が泳ぐ。

「そ、そうだね。一日かける必要なしって感じ。」
私は必死で平静を装ってみた。が、多分ドギマギしているのはとっくに見透かされていたようだ。
「もしかして迷惑だった?」

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