ガチンコ勝負!vs.中坊
第二種目、走り高跳び。

実は、これが最も苦戦を覚悟していた種目であった。

というのも、奴の父親、つまり私のイトコは、高校時代に大分県大会の走り高跳びで優勝したという輝かしい経歴の持ち主なのである。

つまり、小僧には稀代のジャンパーの血が受け継がれているはずなのだ。

その素質がここで開花してしまったら・・・正直危うい。

そして、私の危惧は現実となった。

久々の背面跳びにタイミングがつかめず四苦八苦する私を尻目に、何と小僧は自己新記録の1m70cmをクリア、私に残されたチャンスは残り一回の試技となった。

ここで私は賭けに出た。

バーの高さを1m75cmに上げ、クリアすれば勝利確実、失敗すれば無残な敗北という状況に自らを追い込んだのである。

火事場の馬鹿力・アドレナリン大噴出作戦だ。

ここは断崖絶壁、退路など無い・・・、飛ぶより他に道は無し!

うぐぐごごごごご・・・。

腹の底から燃え盛るアドレナリンが湧き出てくるのを感じた・・・今が勝負の刻(とき)!

気合いも乗って絶好調!よく見とけ小坊主!!これが男の生き様じゃあ〜っ!!!

乾坤一擲、見事クリアした私であった!!!!!

哀れな少年は私の気迫に圧倒され、涙目になりつつ敢えなく三回失敗、またもや私の大勝利である。
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