汚レ唄
春物の衣服のさらに底、
「……あっっった!!」
紺色のブレザーにセーター、スカートが次々に出てきた。
これで、今日は学校に行こう。
着てみると、少し、違和感を感じる制服。
自分のいつも着ていたものじゃないから当たり前か。
そんなことを思い、カバンに教科書を詰め込んでいると、部屋の扉をノックする音が部屋中に響き渡る。
このノックの音は……
「……はい」
大好きなアナタの音。
「……陽菜?」
ゆっくりと開くドア。
静かに足がゆっくりと部屋に入ってくる。
だけど、まともに顔が見られない。
「陽菜……。俺ら、決めたんだ」
“結婚を”?
だから、分かってくれって?
そう言うつもり?
だったら、そんなの分かってるよ。
もうワガママも言わない。
祝福してあげるから。
だから、これ以上、何も言わないで……。
アナタの声を聞くだけで、今はもう……涙が勝手に流れてしまうから。
だけど、アナタは切なそうな声を出して、想像もしなかったことを言い出した。