汚レ唄


春物の衣服のさらに底、

「……あっっった!!」

紺色のブレザーにセーター、スカートが次々に出てきた。



これで、今日は学校に行こう。




着てみると、少し、違和感を感じる制服。


自分のいつも着ていたものじゃないから当たり前か。



そんなことを思い、カバンに教科書を詰め込んでいると、部屋の扉をノックする音が部屋中に響き渡る。







このノックの音は……

「……はい」

大好きなアナタの音。





「……陽菜?」


ゆっくりと開くドア。

静かに足がゆっくりと部屋に入ってくる。


だけど、まともに顔が見られない。





「陽菜……。俺ら、決めたんだ」


“結婚を”?

だから、分かってくれって?

そう言うつもり?


だったら、そんなの分かってるよ。

もうワガママも言わない。

祝福してあげるから。



だから、これ以上、何も言わないで……。



アナタの声を聞くだけで、今はもう……涙が勝手に流れてしまうから。











だけど、アナタは切なそうな声を出して、想像もしなかったことを言い出した。


< 231 / 665 >

この作品をシェア

pagetop