汚レ唄



初めて半年以上付き合った彼女がいた。



今までは、付き合ってもすぐに別れてて……。



“手に入れたいもの”の存在が俺に、『彼女に飽きる魔法』をかけるから。


だから、どんな彼女を見ても、魅力を感じなくて別れてきた。






だけど、
初めて、本気で長続きできるだろうと思える彼女ができたんだ。



もしかしたら、“手に入れたいもの”を乗り越えられるかもしれないと思えたのに。






……それなのに、彼女は、たった一言「別れよう」と小さく呟いた。



それは本当に突然のことで、ほんの30分前なんて、2人で楽しくご飯を食べてたのに。








別れを告げられた途端、目の前が真っ暗になって、彼女の最後の顔ですら見ることができなかった。







その後、俺は行きつけのBARに行くと“手に入れたいもの”を呼び出した。




薄暗い店の中、淡い照明が綺麗に浮かび上がる。



このBARは地下にあり、隠れ家的なところが俺は気に入っている。



そんなお気に入りの場所を知ってるのは……“手に入れたいもの”だけだった。



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