汚レ唄
「麻緋は色白いから、派手に露出するより適度な露出のほうがしっくりくるんだよ」
そっと髪に触れた蒼の指先が優しい。
「髪はトップをちょっと遊ぶくらいでいじったらいいと思うし。どうよ?」
蒼は髪を少し手にとってクルクルと巻きだした。
確かにいつもの私じゃなくって、とってもいい。
新鮮だ。
だけど……
「いいのはわかるんだけど、コンサートだし、しかもあのバンドってロックだから、この格好じゃちょっと浮いてしまわない?」
「……あ〜、そっか」
確かにそうだな。ロックコンサートにはおかしいかっと変に納得した蒼がまたまた服の山をあさり始めた。
「じゃあ、コレは??」
次に蒼が手渡したのは胸元がキュッと締まっていて、裾にいくほどヒラヒラとなっているオレンジのキャミソール。
一応、コレはスカートとしても使える優れ物だ。
その上に羽織る白のパーカー。
それに膝上まであって裾が折り返された濃いカーキ色のクロップドパンツだった。
これは初めての組み合わせだった。
だけど見ただけでわかる。
この組み合わせ、すごく私らしいかも。
「とりあえずちょっと、着てきて」
言われるがままに蒼の部屋で着替えを始める。
初めての組み合わせ。
しかも、違和感なんてない。
こんな着方もあるんだってわかった瞬間、もの凄く嬉しくなった。
妙にワクワクして嬉しかった。