汚レ唄



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「……空がだいぶ暗くなってきましたね。
もうそろそろこの楽しい時間が終わりを迎えそうになってるんですけど」


ボーカルが息を少し切らしながら話し出す。



ボーカルの話をきいて、観客は「えー!!!!!」と残念そうな声を上げた。



「ハハハ。いや、俺たちももっとここにいたいんだけどねぇ」


ボーカルはタンクトップの上に、ドラムのすぐ傍に置いていたシャツを羽織った。



少し風が出てきたようだ。



こんだけの人に囲まれていたら全く気付かないけれど。






「次の曲は9月に発売の新曲です。
この曲は、俺らにしたら珍しいけど、愛の歌になってます」



“愛の歌”という言葉におぉ〜っという声が起こった。




「情熱的な愛というか、好きで好きで好きで……、そんな気持ちがどんどん溢れてくる。
……離れれば離れるほどどんどん想いだけが膨らんで、忘れたいのに忘れることができない。
そんな歌になってます」




それでは聴いてくださいと語りかけるようなボーカルの声に心を奪われ、静まり返る空気の中、ギターの切ない音が響きだした。



それに交じり合うようにボーカルの声がギターの音と自然に絡まりあっていく。


胸を締め付けられるその歌声は、何を想い、誰に向けた言葉なのだろう。


サビに入ったとき、ドラムの音が鳴り響き、一気にこの曲を盛り上げる。



「壊したいくらい愛してる」


ボーカルの切なく歌う中、この歌詞が強く心の中で残った。









壊したいくらい愛してる……





壊したいくらい、愛してる……








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