汚レ唄
生意気だったのに、いつの間にか大人になってて、頼りになって、私のことをいつも気にかけてくれてた。
私の気持ちを優先してくれて、どこにいても、守ってくれた。
そう、私、蒼が好きなんだ。
「ったく、様子見に来てみりゃ、こんな所で寝やがって……」
遠くに蒼の声が聞こえる。
と、同時におなかにふわりと何かをかけられた気がした。
「いくら夏だからって、風邪ひくっつーの」
ふわりと香る蒼の香り。
爽やかないい香り。
畳の香りよりも落ち着く蒼の香り。
『もし、俺と麻緋が姉弟じゃなかったら、麻緋は俺と付き合える?』
答えは姉弟でも蒼と付き合いたい。
蒼への気持ちを自覚したけれど、蒼は弟。
血の繋がった弟。
付き合いたいなんていえるわけもなく、この気持ちだけ、心の中にしまっておこうって決めたんだ。