ヒミツの恋の方程式
「敦が言ってた“賭け”も本当」


聡は、キスの余韻で「はぁ…」っと小さな吐息を吐くあたしの両頬を包んで


「ソレを面白そうだと思ったのも本当」


あたしの鼻の頭に、ちゅっと小さなキスを落とす。


かと思えば――…


「だって、おまえ。
全然オレに興味なかったじゃん」


あたしの頬から手を離し、


「消しゴム投げても、隣の席をいいことにちょっかいかけても、てんで無視。
このオレが、自らかまってやったのに」


聡は心底嫌そうに顔を歪め、


「そんな女、今まで一人もいなかったっつーの」


あたしのおでこをピンと指ではじいた。

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