ヒミツの恋の方程式
「左右対称、同じ位置にこんな大きなカットバンなんて…」


サラッと、あたしの髪を後ろにやって、あたしが首元に貼った2枚の大きなカットバンに交互に触れ


「雫…
いったい、何があった?」


みんなが見ている前だというのに、あたしの後頭部に手をかけて引き寄せた。


「あまりに不自然な傷じゃねぇ?」


そんな黒あくまのセリフは。
そんな黒あくまの態度は。


どう見ても彼女を心配する彼氏のソレだったけど、実際は――…


「やべ。
俺、笑い死ぬ」


堪えきれない笑みを隠すためのもので、それから数分にわたって、黒あくまは肩を震わせながら笑い続けた。

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