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1984年 アサバスカ殲滅作戦

7月6日、カナダ・サスカチュワン州アサバスカ。

「何という事だ…」

ケビン・ハミルトンは、妻のケイトと共にその光景に絶句する。

周囲を赤々と染める炎。

髪を掻き乱す突風。

そして視線の先には、見上げても尚その頂点が見えないほどの巨大なキノコ雲。

雄大なカナダの大自然は、核の炎によって焼き尽くされていた。

「あなた…」

ケビンの腕をしっかりと握り締めるケイト。

彼女の胸には幼い子供が抱きかかえられている。

幼児といって差し支えない。

顔を赤くして、呼吸も酷く荒かった。

何よりその産毛にも似た頭髪が、幼いにもかかわらず総白髪となってしまっている。

幼児は命をも左右するような病に冒されていた。

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