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脱走兵
第207訓練分隊の面々が、夜中に宿舎の前に呼び出される。

10式近接戦闘用軍刀と90式歩兵強化装備着用。

まるで出撃のような物々しさだ。

「知っての通り、咲月 晴が横須賀基地から脱走した」

時雨が険しい表情で新兵達に告げる。

「咲月は訓練分隊の訓練兵であり、貴様らの仲間だ。よって連帯責任として、貴様らに咲月の捜索を命じる」

連帯責任。

つまり晴が逃げたのは仲間達の責任という事だ。

後味の悪いものを感じる。

誰一人として、脱走した晴を恨んだりはしていない。

昼間のあの凄惨な戦闘の後だ。

脱走したい気分になるのも無理はない。

それが正常な神経の持ち主ならば尚更だ。

だが軍隊はそれを許さない。

正常な神経である事を、まるで罪のように罵倒するのだ。

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