スキャンダルなアイツ-プレイボーイに気に入られたのは毒舌地味子-
聴取に使われた空き教室を出て
昇降口へ向かう。
何気ない会話を3人でしていると、
向かいから人に支えられながら歩く、
麗佳さんが近づいてくる。
私たちは止まって、
彼女を先に通そうとして、
お互いがすぐそこのところまで来たとき。
「……満足でしょう?
稜佑は変わらずあなたの元で、
巻き込まれて可哀相な生徒の地位も獲得出来て」
私の目の前で足を止めた彼女は
精力の無い目つきで私を見た。
「私の望む愛を奪っておいて!!――」
荒々しく震える彼女を
支えていた女の先生は強めに私から離れさせる。
一瞬抵抗した彼女も
すぐ元向かっていた方に体を向けなおした。
そのままここを去ってもらえばよかったのに。
私は思わず口が動いた。
「ねえ、麗佳さん。
あなた、稜佑に愛されたいのなら、
あなたは彼を愛しているの?
私は彼のことが、
嫌だって、未熟だって思う面も含めて愛しい。
……この意味わかる?
万人に愛される人なんて居ない、
だからこそ自分に大切な人が居る幸せ、
大切な人に愛してもらえる幸せがあるんだと思うわ」