「葡萄(ぶどう)を見つめるきつね」


「たぶん、これだにゃ。」

「まだ色が薄いけれど・・・。これだと思うな。」

「たぶんにゃ。でも・・・。」

「うん・・・。高い場所にあるね。」

「だから落ちてくるのを待つしかないのにゃ。」

「今すぐ食べてみたいなぁ・・・。」

「何か、考えでもあるのかにゃ?」

「登ればいいんだよ!」

「ふうん・・・。」


きつねは木に登ろうとした。

けれど、何度試しても滑ってしまう。何度も何度も登ろうと努力した。

しかし、登れなかった。


そして、幾週間が過ぎたのだった。

結局、登ることを諦めてしまった。


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