「葡萄(ぶどう)を見つめるきつね」
「だから、落ちてくるのを待つしかないのにゃ。」
「いや、何か方法があるはずさ・・・。」
「わたしに何かできるかにゃ?」
「じゃぁ、木に登るのを手伝ってくれるかな?」
「分かったにゃ。それじゃ・・・。」
猫が台になった。
これで多少は登りやすくなっただろう。
きつねは猫の背中に立って木によじ登ろうとした。しかし、それでも木の実までは届かない。それでも、きつねは努力するばかりだった。
どうやってもとることの出来ない木の実に、味を想像してさらに努力を重ねる。それが幾月も続いた。
「だめだなぁ・・・。」
「あそこに棒が落ちてるのにゃ。あれを使うのにゃ。」
「試してみようか。」
「ここまできたら諦められないのにゃ。」
「そうだね。頑張ろう!」
「そうだにゃ。食べたいのにゃ!」
きつねは猫に乗って棒で木の実を落とそうと努力した。
しかし、木の実に触れるばかりで木の実は落ちてこなかった。
そして、夏になってしまった。
夏になってもきつねと猫は木の実を採ろうと頑張り続けていた。
しかし、いい方法が思いつかないのだ。
もっといい方法がどこかにあるはずなのに、閃くことは無かった。