「葡萄(ぶどう)を見つめるきつね」


「だから、落ちてくるのを待つしかないのにゃ。」

「いや、何か方法があるはずさ・・・。」

「わたしに何かできるかにゃ?」

「じゃぁ、木に登るのを手伝ってくれるかな?」

「分かったにゃ。それじゃ・・・。」


猫が台になった。

これで多少は登りやすくなっただろう。


きつねは猫の背中に立って木によじ登ろうとした。しかし、それでも木の実までは届かない。それでも、きつねは努力するばかりだった。


どうやってもとることの出来ない木の実に、味を想像してさらに努力を重ねる。それが幾月も続いた。


「だめだなぁ・・・。」

「あそこに棒が落ちてるのにゃ。あれを使うのにゃ。」

「試してみようか。」

「ここまできたら諦められないのにゃ。」

「そうだね。頑張ろう!」

「そうだにゃ。食べたいのにゃ!」


きつねは猫に乗って棒で木の実を落とそうと努力した。


しかし、木の実に触れるばかりで木の実は落ちてこなかった。


そして、夏になってしまった。

夏になってもきつねと猫は木の実を採ろうと頑張り続けていた。

しかし、いい方法が思いつかないのだ。


もっといい方法がどこかにあるはずなのに、閃くことは無かった。



< 4 / 10 >

この作品をシェア

pagetop