桜、咲く頃会いましょう。
序章 旅立ちの朝
【桜子】

「それじゃ、行ってくるね、桜子(サクラコ)」

「うん、行ってらっしゃい。気をつけてね母様、それに、父様も。」

「ああ、桜子も留守の間気をつけるんだよ。半年位で帰るからね。」


そう言って母様と父様は家を後にした

「さて…母様と父様が帰ってくるまで、しっかりこの家を守らなくちゃ。」


私の家は古くから営まれている刀屋さんだ
父様はこの仕事にとても誇りを持ってる


そんな父様たちは今日、刀を仕入れに江戸からはるばる京へ向かった

「姉さん、お客さんきてるぜ。」

「ありがとう、虎太郎(コタロウ)今行くね。」


父様と母様が作り上げたこの【平松屋】はそれなりに有名で繁盛していて…

私にお店番が出来るかは分からないけど頑張らなくちゃ


それからは、忙しすぎて父様と母様の旅路を案じている余裕すらなく…

虎太郎と二人、店番に勤しんだ。


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