【短編】Christmas Present
あーあ、ケーキどうしよう。



一人で虚しく食べるか。



いっそ、同じ病室の人達にあげてきたらよかったなあ。



半ばやけくそに、袋を振り回す。



崩れようともう知った事か。



どうせ、私の腹に収まる。



ならどうなったっていいや。



心臓が跳ねたけど、痛くはなかった。



だって、あんな心臓に悪いものを毎日見続けてきたわけだし。



耐性はついた。



…嘘。



そんなもの、つくわけない。



いつ見ても、どれだけ遠い距離にいても、拓都が私には見せないような笑みを浮かべているのを見たときは大抵胸が痛む。



たとえ、それを見せている相手が男友達であろうと。



「あーぁ。」



とんだ贈り物だ。



奇しくも今日はサンタが良い子のもとへプレゼントを届ける日。



こんなものを見せ付けられたのは、私が良い子ではないからか。



しかし、悪い事をした覚えはさらさらない。



サンタの意地悪め。



ぽちっとエレベーターのボタンを押す。



のろのろと、エレベーターの所在を知らせるランプがおりてきた。



まだまだだな。



別に急いでないし、いっか。



ふうっと天井を仰いだとき、後ろから怒声が聞こえた。



「嗄雪てめえコラァッ!!!」



ビクッと私は身を竦ませた。



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