【短編】Christmas Present
私はつんっと頬を突いてみた。



少し顔をしかめただけで、起きる気配はない。



「たーくとー?」



囁いてみても、起きる気配はない。



「えいっ。」



つんっとわき腹を突くと、飛び上がるようにして起き上がった。



寝起きとは思えない瞬発力。



「なんだ!?」


「おはよ。」



チッという舌打ちが答える。



拓都は膝立ちのまま頭をわしゃわしゃと掻きまわした。



「なんだ、嗄雪かよ。
母さんかと思った。」


「…今だに公子さんこんなことやってんだ。」


「想像にかたくねぇだろ?」



嘆かわしげに、拓都は言う。



うん、ご愁傷様。



「で、なんでいんの?」


「今日が約束の日だったでしょ?」


「あぁ、そうか。
で、メシ?」



まだ、と首を振る。



「下で仕上げしてるらしいから、上がってきた。」


「そう。」



退いて、降りるから。と拓都は私を押しのける。



小柄な拓都は、立つと私と変わらない。



大きなぎょろっとした目が私を見た。



「久し振りだな。」


「うん。
っていうか、毎日会ってんのに拓都が話してくれないんじゃない。」



ここらで抗議してみる。



本当に。



休み時間や移動教室、掃除やらで毎日必ず顔を合わすのに、拓都はまるで他人みたいに私を無視する。




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