愛詩-アイウタ-
「ケーキ屋さんだからあまったるい感じでよくない?」



「まぁ、そうかもね」



「ひぃってあまったるい?」



「光璃はよく変わるからわかんない」



 よく変わる??


 態度がころころ変わるってことかな?


 いい意味にも悪い意味にもとれる。



 でもゆみのことだから、悪い意味ではないと思う。…多分。



「光璃は接客だからね。品だしとかレジとか」



「了解!ゆみは何やるの?」



「わたしは…基本ケーキづくりの補助で時々レジかな」



「ケーキづくり!!いいなぁ」



「補助!わたしも最初はレジだったよ」



「ゆみはパティシエになりたかったりする?」



「まぁね!だからケーキ屋でバイト頼んだんだ」



 どこか誇らしげなゆみの様子を見るのは嫌だった。



 自分が汚く思えてくる。



 ひぃには夢なんてない。


 何をすればいい?


 向いているものも好きなことすらわからない。



 歌?服?



 どれも流されているだけだよ。


 ひぃの意思じゃない。



 だから、これしか言えなかった。


「すごいね」

 そして、


「職場、行こうか」



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