私を買ってください
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昼休み、社員たちはめいめいに食事をとり、御多分に漏れず味気ない仕出し弁当を口にはこんでゆく。一人の食事は思いのほか早く済み、ポケットのケータイに手を伸ばす。
「おい、まだピコピコすてんのか、ストレスたまってんの?じゃ飲み行っか?」
所長はなぜか、いつも俺のことを気にかけてくれる。
「ういっす、お願いします」
忙しそうに営業に向かう所長に一礼して、唯一のコミュニケーション、この電話コンピューターと対話する。
ニュースやメール、通販などを一通りチェックし、最近見つけたサイトにつなぐ。

『私を買ってください』
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